X JAPANの1995-1996年について
「青い夜・白い夜」の時点で,DAHLIA , SCARS , Rusty nail , Longing , Tearsと,アルバムDAHLIAの核をなす曲は全て成立していまして,この年はレコーディングにあてられるはずの年でした.ところが,
(去年のドームの怪我は)6月位までは,駄目だった.ドラムが叩ける様になったのが,本当に不思議って言う位.右手の肘に痺れが残ってて,それが取れたのが6月.(SHOXX 1996 vol39.)
という事情で,この年の前半は要するにドラムのレコーディングが不可能な状況にあったと.
普通のレコーディングでは,打ち込みによるデモの収録後,ドラムトラックの収録が一番先に行われますから,実際のレコーディングの始まりの段階で躓いてしまったのですね.
一方でボーカルのレコーディングはレコーディング作業の最後の方ですから,この時期にtoshiはツアーを行うことができた訳です.
アルバムが完成せぬままDAHLIA
TOURに突入しますが,
ツアー初日1曲目でドラム破壊してみたり,ドラムソロがなかったり,
体調不良による公演中止・延期が続いたり.他にも切望の夜の理由不明な発売延期,ディヴィッド・リンチまで起用したプロモーションビデオのお蔵入り,等,恐らくYOSHIKIが精神的に不安定だった事が伺えます.
今のところ肉体的な不安は全然ないです.すごく鍛えてますから,体は.(中略)昔みたいなドラムの叩き方を駿んだったら,ライブはやらないほうがいいくらいに思ってます.だから,今までの何倍も凄い叩き方しようと思ってますけど(笑)(FOOL'S MATE 1996.2)
...だそうです.
実際に1週間おき(というか土日のみ)のスケジュールで,体力的には余裕があったものと思います.が,これが逆に,1週間おきにライブの為に来日する,というスケジュールを生んでしまいました.仙台の公演中止の理由はYOSHIKIの体調不良,だそうですから.
本来はアルバムが完成している事を前提にしたブッキングであった訳ですが,実際にはアルバムが完成しなかった,と.それでもアルバム無しでツアーに踏み切った理由は,要するに「前例がないから」「面白いから」という事らしいです(笑)
この頃,YOSHIKIはVIOLET UKというソロプロジェクトを発表しました.
YOSHIKIが結成したプロジェクト”VIOLET U.K."の、「肌の色、人種、性別、国籍を越え、世界の様々に異なる文化の壁を打ち破る」というコンセプトに共鳴したアーティスト、フディングが製作した巨大なオブジェ(Violet Rose)。ニューヨークのマジソン・スクエア・パークに設置されている。また、のちに東京の後楽園ゆうえんちでも展示された(Rockin'f No.243 1996.1月号)
VIOLET UKについて,考えていたのは,絶対にXでは出来ない物ってこと.そういう物があって,自分がやりたいと思ったら,やろうと思ったんだ.それが何かっていう考えが一年半くらい前にまとまって,それからがんがんレコーディングをして,あともう一息っていうところ.(作品の内容は),絶対に誰にも予想つかないと思う.名前は...L.A.に長くいると,人種差別とかそういう事を,目の当たりにすることが多いんだ.それで,人種間の色を超えた色ってことで,ヴァイオレットという言葉に到達したんだ.すみれ色って,いろんな色が混ざって出来た色だからね.(SHOXX 1996.Vol39)
(VIOLET UK)このプロジェクトの活動を,実はイギリスから始めようと思っているんですよ.(FM Station 1995.11)
ちなみにこの薔薇は1996.1.1のハンマープライスで、
『1995.12.31にYOSHIKIがライブで壊したドラムセット』
とともに出品されて、ファンの女性に競り落とされました.
VIOLET UKの一方で,Xjの海外進出に対して,
メンバーに対する不信の様な言葉を口にしています.
今もアルバムと平行してXの海外版のデモも作ってますから.計画も着実に立ってますし,全然諦めてないです,Xの世界進出は.(中略)じゃあ,僕だけが海外に向かって先走ってしまったのかなって,なんかそこでね...メッチャクチャ葛藤してます.(FOOL'S MATE 1996.2)
1年くらい前だったかな,僕は途中で切り替えたの.このままじゃだめだと思ってね.だから,今作っているアルバムって,全世界発売分じゃないですよ.うん,普通の日本版です.みんなの状況とかあって,とりあえず日本版を作んなきゃX終わるなって思ったんですよ.(95.12 UV)
ところが,そのYOSHIKI自ら,頸椎椎間板ヘルニア発症
という「破滅」の一つの形を迎えてしまいます。。。
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