2002.12.03〜04 Symphonic Concert 2002 in 東京国際フォーラムA



01 - Say Anything
02 - Amethyst
03 - The Last Song
04 - 7th
05 - Forever Love
06 - Longing
07 - Amethyst
08 - seize the light
09 - I'll be your love
10 - Screaming Blue
11 - Blind Dance
12 - Anniversery



初日。
シンフォニックコンサート、ということで、VIOLET U.K.コンサート初日です。
曲がX JAPAN時代の曲が多く、ファンとしては馴染みがあるものばかりで
良いライブだったのではないでしょうか?
歌詞有りのAmethyst、幻の曲のAnniverseryなども演奏されています。



01 - Tears
02 - Amethyst
03 - The Last Song
04 - 7th
05 - Forever Love
08 - seize the light
09 - I'll be your love
10 - Screaming Blue
11 - Blind Dance
12 - Anniversary
13 - Endless Rain
14 - Without you

二日目。

初日とあまりセットリストは変わりませんが、初日のオープニングナンバーSay AnythingからTearsなど若干の変化はあります。
Without youはMCの中でお客さんにリクエストされて少しだけ弾いたので、一番最後に演奏されたわけではありません。



---12/3------

1曲目は、「Say Anything」だった。
前奏の部分は、オーケストラ形式ではなく、 1stバイオリン、2ndバイオリン、ビオラ、チェロの
それぞれトップの奏者のみでの4人での演奏。
それは、さながら弦楽四重奏のようであった。
完璧にそろった純正律で奏でられる4人の演奏は、もはや言葉には出来ないほどの美しさを
持っていた。1曲目が終了した瞬間、ホールは溢れんばかりの拍手に包まれた。

Amethyst」は、2曲目に登場した。
おなじみの曲の、おなじみの編曲。しかし、CDで聴くのとコンサートホールで実際にオーケストラの奏でる旋律を聴くのとでは、比にならないことは明らかだ。そして、2曲目終了。
 すると、突然ホール全体が真っ暗になった。
そして、誰かがステージの下手から歩いてくるのが見える。
誰だ?YOSHIKIか?それとも…?突然、客席からその誰かに向かって、
「YOSHIKI〜」と叫ぶ声が聞こえる。
すると、その人は、軽く手を挙げた。間違いない。YOSHIKIその人本人だ。
その瞬間、ホールに大歓声が轟く。クラシック・コンサートの常識を覆すかのような大歓声だ。

ファンたちは、この瞬間を5年間待っていたのである。
そして、再びステージに照明の明かりが灯されたとき、YOSHIKIはピアノの椅子に座っていた。YOSHIKIは、戻ってきたのだ。我々ファンの元に。



 YOSHIKIのピアノは、「The Last Song」の前奏を奏で始めた。
そして、オーケストラの後ろのスクリーンに、X時代の写真が現れる。YOSHIKIがピアノを弾き、
そのバックにオーケストラの演奏がある。
それは、さながらピアノコンチェルトのような演奏だ。
The Last Live の時のような、YOSHIKIのモノローグはないが、クラシックさを十二分に演出した「The Last Song」だった。
やがて、3曲目が終了した。

そして、次の曲についてYOSHIKIはこう語る。
「去年の9月11日の事件で、とてもショックを受けて、その時に書いた曲が次の曲だ。この曲のおかげで、自分は立ち直ることが出来た。」と。
7th」という曲で、ハ長調のきれいな曲だった。
 この曲が終わって、YOSHIKIはいったん退場した。

次の「Forever Love」は、最初の2曲同様、ピアノなしでの演奏になった。
「Forever Love Forever Dream これ以上歩けない Oh tell me why Oh tell me true 教えて生きる意味を」のフレーズは、コンサートミストレスのソロだった。
何処までも切なく、そして何処までも美しい旋律。
ファンならずとも、多くの人に愛されるこの曲が、オーケストラの演奏で壮大に再現される。
そこには、音楽を越えた何かが確実に存在した。
「Forever Love」の演奏が終わり、第1部は幕を閉じる。以外と短かった。第2部には、どんな曲が待っているのだろうか。

 後半開始。まず、オーケストラの形式チューニングでスタートする。
そして、後半1曲目は、「Longing 〜跡切れたmelody〜」。
「Say Anything」にしてもそうだったが、オリジナルバージョンのギターソロの部分で、
いったんフォルテッシモからピアノに落ちる編曲が多いようだ。
Aメロの部分は、オーボエが美しく奏でる。
そして、サビでは弦楽器セクションが、壮大かつ重厚な響きを歌う。
F dur に転調してからは、バイオリンとチェロが同時に主旋を歌い、壮大さがよりいっそう目立つ。
最後に、オリジナルバージョンにはない、クラリネットによるAメロがかすかに再現され、「Longing」は、幕を閉じた。

 そして、YOSHIKI登場。次の曲は、一体なんだろう。知っているようで知らないような…?
しかし、ヴォーカルが入った瞬間、誰もが分かったことであろう。
これは、「Amethyst」の、ヴォーカルバージョンだ。

この曲は元々ヴォーカルが入っていて、ロンドンフィルハーモニーの演奏で発表したのが後だった
ということは知っていたが、
実際に聴けるとは思っていなかったファンが多いのではないだろうか。
インストゥルメンタルの「Amethyst」がすばらしいのは百も承知だが、ヴォーカルの入った「Amethyst」も、負けず劣らずとても美しい曲となって仕上がっている。ただ、原曲は G dur だが、この編曲はF dur に編曲されていたようだ。



やはり、この曲は最高音がEなのだが、いくら女性ボーカリストでも、このキーを美しく歌うのは困難だったのだろうか。
 さて、次の曲はなんだろうか。
「あれ?次の曲なんだっけ?指揮?ピアノ?マジで忘れちゃった!!(^^;)」ステージ下手に戻り、次の曲を尋ねる。

どうやら、次はYOSHIKI自身が指揮を振るらしい。
YOSHIKIがオーケストラの指揮を振っている姿は、ファンでも見たことはないだろう。
そして、次の曲は「seize the light」だ。

知っての通り、globe の新曲で、YOSHIKIが書いた曲である。
結婚式の時にはピアノでYOSHIKIが弾いた曲だが、今日はその曲がオーケストラの壮大な旋律
で奏でられる。

YOSHIKIは、指揮の指導も受けたことがあるのだろうか。
しかし、少々ぎこちない指揮だった。
 そして次の曲は、愛・地球博の公式テーマソング、「I'LL BE YOUR LOVE」のようだ。
この日のためのL. A. からやってきたニコルという女性がヴォーカルのようだ。
「I'll be your love〜♪」?この曲は、ヴォーカルのアウフタクトで、ピアノが1小節目に入るはず
だが?どうやら、失敗らしい。
「始まっちゃわないでよ(^^;) (YOSHIKI)」思わず、会場全体に笑みがこぼれた。

そして、気を取り直してもう1度。今度は、アウフタクトで上手く1小節目にピアノが入る。
?突然、YOSHIKIが手を挙げ、再び曲を止める。
「YOSHIKI〜!!」「悪かったな!」
どうやら、クリックが壊れていたらしい。
そしてそして、気を取り直してもう1度。今度は、上手く入れたようだ。
Web上で試聴できたのは日本語バージョンの方で、原曲は英語らしいので、今回の英語バージョンでのこの曲が、本当のオリジナルバージョンといえよう。
YOSHIKIの書く曲の中では珍しく、希望に満ちあふれた曲である。
何処までも暖かく、何処までも優しい。そしてもちろん、YOSHIKIの書く曲全てに共通しているが、何処までも美しい。

しかし、本当のオリジナルバージョンは、確かDAHLIAという女性のボーカリストのはずだが、
今回はニコルという女性だ。
だが、それにしてはWeb上で試聴したボーカリストの声ととてもよく似ている。
声の似ているボーカリストをViolet UKのメンバーから探したのだろうか。
しかし、どちらのボーカリストも見事な歌唱力である。会場全体が、優しい空気で包まれる。

 そして、優しく曲が終わり、次の曲はViolet UK の曲だ。「Screaming Blue」という曲らしい。YOSHIKIはこう語る。
「"The Last Song"の時、"I see red I see blue"と詠ったが、それは、単に赤と青という意味だけではなく、"red"という言葉は怒りを示し、"blue"という言葉は、苦しみを意味する。」と。
この曲は、その時の気持ちの延長線上の曲らしい。
なるほど、とても孤独に満ちた曲だ。X JAPAN時代にも、このような曲はなかったのではないか。


当時YOSHIKIが書いていた曲は、どの曲も感情をはっきりと歌う曲は少なかった。とても哀しい曲でも、長調だったり、短調でも特に暗い・哀しいといったイメージはないような曲が多かった。
YOSHIKIの音楽性も、幅が広がったのだろうか。
それとも、Toshiのボーカルに合わないと想い、書いてはいたが Violet UK のために暖めておいた才能なのだろうか。
どちらにせよ、C moll の、とても哀しい曲だった。

 待ちに待っていたこの YOSHIKI Symphonic Concert 2002 も、次の曲で最後だ。何やら、電子機器がステージに運ばれてきた。
その準備の間、YOSHIKIはしばらく喋っていたのだが、一人で喋りっぱなしというのも何なので、「質問か何かありますか?」と切り出した。
この言葉でうれしさを感じないファンはいないだろう。至る所から、手が挙がる。
そして、 YOSHIKIが選んだ一人目の質問者。
「Without You 聴かせて下さい。」
「あ〜あったねぇ。Toshiが戻ってきたらやります。え?…分かんない。」


質問が聞き取れなかったが、おそらくこの質問は、
「いつToshiは戻ってくるの?」といった内容であろう。
「あれは、あの曲はやっぱりToshiに歌ってもらわないと。」おそらく全ての人が同感であろう。

Wituout You。それは、1998年5月2日にこの世を去った、HIDEに向けてYOSHIKIが書いた曲だ。
(
HIDEは、hideの愛称で呼ばれることが多いが、それはソロ活動をするときの彼の愛称であり、
X JAPAN の Guirarist としての彼は、HIDEなので、ここではあえてHIDEと書かせてもらう。)

かつて少しだけ YOSHIKI. net で公開されたのを聴いたことがあったが、
とても優しく、きれいな曲だったことを覚えている。

そして、他にも色々質問が来る。
「腱鞘炎はどうなのですか?」
「痛いです。とっても。思い切り痛いです。多分直んないんじゃないかな…
破滅に向かってってかんじで、このまま破滅に向かっていきます。」
「顔見せて〜!!」
「顔?ヤダよ!(笑)」



そうこうしているうちに、準備が整ったようだ。
最後の曲は、「Blind Dance」という曲である。
この曲は、かつてセブン・イレブンのCMで少しだけかかっていた曲である。
セブン・イレブンのCMは2通り作られているが、その2つ目だ。
いよいよ、ラストナンバーがスタートする。

 弦楽器の美しく、切ない旋律と共に曲は幕を開けた。
そして、オーケストラのハーモニーにとけ込むように、ヴォーカルの声が混ざった。
曲が始まっておよそ 1分。ピアノが入り、曲は厚みを増す。
しばらくして、曲は1段落ついたかのように思えた。その瞬間!電子機器によるエレクトリック・サウンドが会場を包み込んだ。
オーケストラにピアノ。そして、電子音による8ビート。
途中、ヴォーカルにすさまじいエコーがかかり、同じ声が何度も反復される。
そして、何やら爆発音のような音が会場全体に響きわたる。何かが起こる。誰もが不安と期待を胸に潜めて、その「何か」を待っていたに違いない。

 激しいベース音と共に、エレクトリックサウンドがマッチして、ハードロックのような音楽に曲は変わっていった。
そして、YOSHIKIのピアノが、狂気の旋律を奏で始める。
怒り、哀しみ、憎しみの全てを、音楽としてぶつける。
YOSHIKIのピアノは、つい先ほどまでのピアノとはうって変わり、もはや1つの「凶器」と化していたに違いない。
オーケストラとベース音に囲まれながらも、YOSHIKIの奏でる狂気の旋律は、決してひるむことはなかった。
下から上へ、そして上から下へ自由にかけ登るスケールは、高度なテクニックが必要とされる、YOSHIKIならではの表現方法といえよう。

 激しい音楽が、突然止まった。YOSHIKIのピアノは、再び切なく、美しい旋律を奏で始めた。
しばらく休んでいたヴォーカルが再び歌い始める。
交響曲でいえば、再現部といったところであろうか。
最も、ヴォーカルは休んでいたのではなく、その間は、ヴォーカリストではなく、ダンサーとして
ステージ上で華麗に舞っていたのであるが。
YOSHIKIとヴォーカリストの美しい旋律の調べと共に、再びデジタルドラムサウンドが会場を包み始めた。

開始から約17 分。
まるで「ART OF LIFE」の最後のように、ヴォーカルのフェルマータで曲は終わりを告げた。

 最後の曲は、激しく、美しく終了した。
激しさと美しさ。この2つを兼ね備えたYOSHIKIの曲は、もはや単なる1曲とは呼べないもので
あったに違いない。

3

こうしてコンサートは終了したのだが、アンコールなしに曲が終了するはずがない。YOSHIKIはステージ上に再び姿を現した。
どうやら先ほどの演奏で興奮して鍵盤を叩きすぎて、流血してしまったらしい。
鍵盤に血が付いているとか。

一体どんな演奏をしたらピアノを弾いて流血するのだろうか。
相変わらず YOSHIKIのやることは理解不能である。
「大丈夫〜?」
「大丈夫です。痛み好きなんで。好きなわけ無いじゃないですか。(笑)」


 そして、コンサートはアルコールへ。
アンコール曲は、「Anniversary」である。
この名前を出した瞬間、すさまじい歓声が巻き起こった。「Anniversary」とは、
99年の11月に、天皇陛下のご即位10年を記念して YOSHIKIが書いた、ピアノコンチェルト
である。
この曲を再び生で聴くことが出来るとは、
熱狂的なファンも思っていなかったのではないだろうか。
ピアノの激しいスケール。中間部の優しく美しいピアノソロ。やはり、この曲の完成度はかなりのものがあるだろう。最後のクライマックスは、少々テンポが前回より速かった。

 曲の終了の瞬間!すさまじい拍手と歓声がわき起こった。
「YOSHIKI〜!!」会場のあちこちから、YOSHIKIの名を呼ぶ声が聞こえる。
ファンにとって、そしてYOSHIKIにとってもこの曲には大きな意味があるのであろう。
思えば98年の事件以来、表舞台から姿を消していたYOSHIKIが、復活するときの大きな支えとなったのが、この曲なのである。
平成の10年間を振り返った曲というのがテーマだったのだが、
平成の10年といっても、当然いいことばかりではない。辛いこと、哀しいことも当然あった。
そのテーマで曲を書いていくうちに、平成の10年間は、YOSHIKIにとっての人生ともいえる X JAPAN の生涯でもあったのだ。

 ファンのアンコールに応えて、もう1曲だけ演奏するようだ。
しばらく黙り込むYOSHIKI。彼の目には、涙が浮かんでいた

「じゃあ……僕の人生の大半を過ごした X の曲の、「ENDLESS RAINという曲を。みんな一緒に歌って下さい。」


YOSHIKIの中で、そしてファンの中で、この曲の占めるウェイトがいかに高いかがよく分かる。
ピアノが前奏を奏で始めたとき。
会場全体に大歓声が起こる。
そして、集まったファン全員の大合唱による「ENDLESS RAIN」が始まった。

それは、解散から5年という時を経た今でも、
"X JAPAN" の "ENDLESS RAIN" そのものであった。
ファンは、この瞬間を待っていたのである。
いつまでも。いつまでも。
TOSHIも、HIDEも、PATAもHEATHもいない "ENDLESS RAIN" だったが、
紛れもなく "X JAPAN" の "ENDLESS RAIN" だ。
あちこちから、涙声が聞こえる。
誰もが、溢れる涙をこらえきれずに、それでもYOSHIKIと一体となり、ENDLESS RAIN を
奏でていた。YOSHIKIの目にも、涙が溢れていたに違いない。
溢れる涙の中。YOSHIKIとファンたちは、確かにこの瞬間、かつての "X" を取り戻していた。
永遠に色褪せることのない、果てしない絆である。
彼らはもう二度と、離れることはないだろう。
X JAPAN は確かに97年の9月22日をもって解散したかもしれない。

しかし、YOSHIKIの中では、ファンの中では、これっぽっちも終わってなどいなかったのだ。
それどころか、X JAPAN への愛は、高まる一方だ。
 何回繰り返しただろうか。YOSHIKIのピアノと共に、ENDLESS RAIN は、終わりを告げた。YOSHIKIが VIOLET UK のメンバーとしてファンたちの前に姿を現す日は、そう遠くはないはずだ。これは、ほんの始まりにすぎない。
YOSHIKIの人生の中での最後の大プロジェクトである、VIOLET UK の。