Home >>  X >> HIDE >> hide秘話 〜 インタビューとか
 


1994年 ソロアルバム「HIDE YOUR FACE」リリース時




◆ 前略  + 松本秀人様 +


やぁ、久しぶり。
元気でやってるかい?
君に手紙を書くのは初めてだね。
君とは何年逢ってないんだろう?
僕が29歳ってことは十年以上も逢ってなっかたことになるね。
時間の経つのは本当に早いね。
あの頃の仲間たちも元気でやってるかい?


針を落とすとスピーカーから飛び出して来て僕たちをワクワクさせてくれた
あいつらのことだよ。
あの頃は食事をするのも寝るのも忘れて一晩中騒ぎ続けたよね。
懐かしいなぁ。
もし逢うことがあったらよろしく言っておいてくれよ。
そうそう実はアルバムを作ったんだ。
僕の初めてのソロ・アルバムだよ。
「HIDE YOUR FACE」っていうんだ。
テーマは初期衝動。

でもね、出来上がって思ったんだ。
もしかしたらこのアルバムは君に聴いてもらいたくて
作ったんじゃないかって。
今だから正直に言っちゃうけど、あの頃の君ってさ、どっちかって言うと
なんでもない子供だっただろ?

デブで運動も出来ないしそのくせなんか理屈っぽくて
結構イヤなガキだったよね?
そんな君がガラっと変わった瞬間のこと覚えてるかい?
そう、君が初めてあいつらにロックに出逢ったときのことだよ。
もちろん覚えているよね?
だって天命を与えられたんじゃないか?って思えるくらい
衝撃的だったもんね。

さっき僕が言った初期衝動っていうのはそういうことなんだ。
僕は今でもあのとき君が感じたワクワクと今僕が感じている
ワクワクとは同じだと思ってるんだ。
このアルバムはそれを確認するために作ったような気がするんだよ。

だから自分でいうのもなんだけど無茶苦茶なバランスのアルバムに
なっちゃったんだ。
インタビューを受けても「バラエティーに富んでますね」
としか言われないしさ。

君ならわかってくれると思うけどしょうがないよね?
だって別にノウハウがあるわけじゃないし他の人が聴いたらなんとも
思わないなんてこともあるからね。
でもね、僕はどうしても知りたいんだ。
なぜ僕たちがあんなにワクワクしたのかを。

君と別れてからこの十何年間僕はその答えを探す旅をしていたと
言っても過言ではないな。
これまでは君から離れなければその答えは見つからないと思ってたんだけど
今ではその答えは君と一緒に過ごしたあの頃にしかないような気がするんだ。

だから今回の旅は君と離れていた十何年間を遡る旅だったんだ。
そんな旅の中で見つけたワクワクをもし君が同じだと言ってくれたとしたら
「うん、うん。わかる、わかる。全然変わってないな、お前は」
って言ってくれたとしたら
僕はこのアルバムを作った甲斐があったしまだまだ終わりそうにないこの旅を
これからも続けられそうな気がするんだ。

とにかく聴いてみてくれよ。
また旅先で新しいワクワクを見つけたら手紙を書くよ。
あいつらにはくれぐれもよろしく。
それじゃ。
hide




Home >>  X >> HIDE >> hide秘話 〜 インタビューとか